とりあえず暑くなる前に…と、先ほど8時台に都知事選挙の投票に行ってきた。しかし役所からの「投票所入場整理券」なるものを受け取るたびに、アタシは自分の最初の、そしてマボロシに終わった初選挙を思い出す。今日はその話。
ぐぐんと年代をさかのぼり、アタシのハタチ頃のことである。
このときは両親と二歳違いの姉との四人暮らしだった。
待ちに待ったアタシにとっての初投票の日がやって来た。
どうせなら国政選挙とか華々しいものでスタートを飾りたかったのだが、市議会議員選挙みたいなショボい(おいおい…)スタートだったと記憶している。
でも、なにはともあれ初選挙である!
お酒やらタバコやらは、ぶっちゃけ「やろう!」と思えば何歳からでもできるけど(おいおい…)、こればかりはそーいうわけにはいかない。
入場券がいるからな。
まさにオトナの世界のパスポート。これがなくっちゃ参加すらできないのよ。おほほほほ。ママパパの付き添いのお子ちゃまは入り口で待っててね。けけけけけ。
アタシは持参した「投票所入場整理券」を優雅に、しかし内心は初選挙の興奮でドッキンドッキンしながら係のお兄さんに渡し、お隣のお姉さんに投票用紙をもらい、緊張のあまりいつもより鉛筆の字が汚いくせに、ふふん。こんなの大したことないわ、オトナなアタシには鼻をかむくらいの自然な行為よ、うふんうふん、と誰へともなく演技をし、書き終わった投票用紙を震える手で二つ折りにして投票箱に入れようと思ったら、スカって一発で入ってくれないもんだから、
「あら、この投票箱不良品じゃないかしら。穴が曲がってるんじゃない?まあ、アタシはオトナだから、そんなささいな不備は気にもしないわ、ラララララ」
と、余裕の笑み(多分ハタから見ればひきつった笑い)を浮かべてゆっくり入れ、そして背筋がえらく伸びきったモデルウォークで会場を後にしたのである。
さて、この日の夕方。
母がアタシに言った。
「あんた、まだ投票行ってないのね!家にいるんだから早く行っていらっしゃい!」
???
アタシ、行ったし。優雅にオトナにやってきたし。
「何言ってんの。アタシとっくに行ってきたよ」
「だって、あんたへの通知、まだあるじゃないココに」
!!!!!
そうなのである。
アタシの「投票所入場整理券」が…あるのだ!何故!?
ないのは・・・デートで出かけている姉の通知だ!
がっぴょーーーん。姉として投票してきちゃったのかーー!!!
これ。今は最初に「整理券」を受け取った人が
「◯◎ ◉子さんですね?」
なんて、フルネームを呼んでくれるけど、当時はなかったってことかな?たまたまその時の人が省略しちゃったのかな?聞いてくれたらサスガにその時に間違って持ってきちゃったこと、わかったと思うんだけどな〜(あくまで人のせい)。
ああ、アタシの記念すべき初選挙。替え玉投票じゃんか!
も一回ちゃんと自分の持って行って来ようか?
いや、それじゃホントに一回目は替え玉じゃんか。
これはしらを切ってねーちゃんにアタシので行ってきてもらい、結果オーライに持っていくしかないでしょっ!
投票時間が間もなく終了、という頃に姉がデートから帰ってきた。
「ごめんごめんごめんねーちゃん!!
かくかくしかじかでアタシのこの券で投票行ってきてくれる?」
「え〜なんか面倒〜。もう時間だし〜。アタシいいや〜」
※選挙権は義務ではなく権利ですが、世の中に文句言うなら行きましょう!
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そうして初のアタシの名前の「投票所入場整理券」は日の目を見ることなく、しばらく棚の上に置かれた後、「燃やせるゴミ」だか「雑紙」だかになってしまったのだった・・・
てなわけで。初選挙にのぞむ18歳の皆さん!
くれぐれも「自分の整理券」かどうか確認の上、投票所に向かってくださいね!
ちなみに我が家は現在2世帯住宅になっていて、一階が両親世帯(父は他界)、二階がアタシたち世帯(夫は離婚→愛犬ハレルに変わる)という構成になっている。
この記事で述べたように、アタシは結婚しても離婚しても名字の変更なし。生まれてからずっと今の名前の自分宛の郵便物を、親世帯と共通の郵便受けから掘り出している。
母とアタシの氏名の違いはたった一文字。しかもその違う一文字も、アタシは木へん。母はノギへん。「つくり」も結構そっくり。めちゃくちゃ紛らわしい。
そこで母も「ごめ〜ん。自分のだと思って間違えてアンタ宛の手紙開封しちゃった〜」ということを平気でやる。イイカゲンはDNAに組み込まれているらしい。
そこであの日以来、アタシの整理券の氏名の確認は「声だし確認」が基本である。
「◯◎ ◉◉。氏名確認、よし!出発進行!!」
だから、今日は大丈夫。のはず。多分。きっと。うん。
おしまい!