Gパンお直し術シリーズpart3。今日のコンセプトは「ミシン使わず和テイスト」。でも応用はキミ次第。ぜひコレを参考に、Gパンの再生というよりはキミだけのGパンの創成を楽しんでね!
今回は基本ひざ穴の修理法(ミシン不使用)。ちなみに前二回はこちら。
キミの材料・道具・ワザの好みや修理箇所の様子によって、各記事を参考にしてもらえたらうれしいな!
さて実は今回のお直しは休日は釣り三昧のイベント出店仲間さんからの依頼のもの。持ち込みの帯を使って膝の穴の修理を、というご希望だ。さあどうなるかお楽しみに〜!ではさっそく始めよう。
1. 穴に当て布をして補強しよう!
まずはGパン全体をチェック。穴は開いてなくても予備軍がないか見つけておこう。今回のGパンは左の膝の穴一カ所だけ(画像A)。あとはちょっと心配なところが2カ所。こちらはアップリケで覆うだけでよさそうだ。
膝のダメージをひとくくりに補修することに。まるでヒョウタン型(画像B)
穴の位置よりひとまわり大きめに布をGパン裏から重ねて、まわりギリギリをしつけする(このあたりは前回にも詳しく説明中)。この布は直接肌に触れるもの。綿100%の優しい(といって伸縮しすぎない洗いざらしの)布を使おう。
このダメージを隠すアップリケの形・大きさを考える。やはりサカナの形かな。釣りキチ君だし!(画像C)
さて。そうしたらこの穴の周り。しつけのちょっと外側まで中身を全部乱れ刺ししよう。乱れ刺しって何?うん、いたって簡単。キレイな目で並んでいなくていいから、全体をガツガツ縫っちゃおう!ってことだ。どうせ縫い目は隠れちゃう。気にしないでガンガン縫おう。
このときの注意点や補足はこちら。
- 一緒に反対側の生地も縫ってしまわないように写真のように薄い箱のフタだとか本だとかをはさんで縫おう。
プスッと紙にささる感触を感じて針をすくわないと、Gパンは厚いからきちんと針が通っていないこともある。慣れないうちは時々反対からチェックだ! - ミシンで縫う方がいいな!という人はこちらのやり方でどうぞ!
出来上がりはこんな感じ。表と裏。しつけ糸は終わったら取るよ!
2. 帯の下準備をしよう
持ち込まれたのは名古屋帯。今回はそれほど使用しないので、手やお太鼓部分は今後バッグなどに使用できるので取っておいて、(画像A)に◯を した切り換え部分を使うことにした。
縫い目を開くとこんな感じ(画像B)。白いのは帯芯。今回は使わない。
帯を一回水にくぐらせ(水洗い)、軽く干す(画像C)
補足・注意点)
- 水にくぐらせておくのは今後Gパンを洗うときに問題がないかの確認(色落ち・縮みなど)のため。
- 水にくぐらせたら脱水機は使わず軽くしぼるだけで干す(脱水機はシワのもと!)。そしてまだ半乾きとびしょびしょの間くらいですぐアイロン。そうすれば折ジワなんかもみんなキレイになる!
- 帯の裏が刺繍でたくさん糸が渡っている場合、この後説明する片面接着芯を先に貼っておくといいかも。
3. 帯でアップリケ布を作ろう
今回は大中小3種類の大きさの魚の形のアップリケを8こ用意することにした。アップリケの作り方はキミの好みで次の4タイプから決めてほしい。
- 両面接着シートで作り、貼り付けるだけ
- 両面接着シートで作るが、丈夫なように縫い付ける
- 片面接着芯で作り、縫い付ける
- 片面接着芯で作り、周りをかがった後(ブランケットステッチ)縫い付ける
上の方ほど簡単・お手軽(2,3はほぼ一緒)で4が一番手数が多い。しかし縁を覆うので一番丈夫だ。しかしアップリケ布によってはステッチがうるさい場合もあるだろう。ケースバイケースだ。
以下、基本4の作り方だが他の場合も触れながら制作行程を見ていこう。
下準備)同じ形でいくつか作りたい場合は、厚紙などで型紙を作っておこう
1)帯の裏に接着芯(片面・両面どちらか)をアイロンでつけよう
- 接着芯はそれぞれの使用前に使い方を確認。とくに両面の場合は先にどちらの面から使用するのか、剥離材や当て布などの説明を良く読もう。
以下参考で一つづつ載せておく。手芸屋さんには色々厚みや色の違うものもあるので是非実際に手に取ってみることをお勧めする。
◉両面接着芯の例
◉片面接着芯の例
2)型紙を置いてしるしをつけてから切ろう
- 縫い代はいらない。断ち切りでよい。
- 柄をうまく使いたい場合は、表側に型紙を当てしるしをつけ、そのしるしの真上を切ればよい。
3)布はじのほつれ止めをしよう
世の中には便利なものがある。
こういったほつれ止めを布の切り口に縫っておこう。コレをしなくていい場合は布がフェルトや革のようにほつれてこないものくらいだ。4の方法で周りをかがるにしても、今後洗濯をいっぱいすることを考えるとやっておいたほうがいいだろう。
代用品としては木工用ボンドを少し水でのばしたもの。これを筆や綿棒で塗れば、乾くと似たような効果が得られる。しかし濃度・塗り方によっては布が固くなってその後のまつり縫いがしにくくなることも。不要な布で試し塗り&試し縫いを!
4)アップリケ布の周りをブランケットステッチでかがろう
※1〜3のやり方の場合は省略
かがる糸は今回は刺し子糸(段染め)を使用したが、刺繍糸でもOK。
ブランケットステッチはこちらのサイトがわかりやすいよ。
5)アップリケの配置を決定しよう
例え必要な補修箇所は一個だけでも、そこだけだと「いかにも」である(画像A)。これでは小学生だって高学年にもなれば嫌がるだろう。
そこでいくつかフェイクのアップリケを追加!これだけで「お直し」ではなく「デコ」になる(画像B)。こちらで言ったことをもう一度言おう。
大事なのはお直しに、ただ「修理する」だけではない「付加価値」をプラスすること。「ボロを繕って貧乏臭くヒツコク使う」のではなく「お気に入りの服をもっと長く使いたいから、自分仕様にカスタマイズしてさらにお気に入り度をUPさせる」その気持ちなのである!
ということで、思いっきり自分仕様を楽しんでほしい。
基本決まりなどない。キミの好きにするべきだ。でも色とか悩んじゃうのよね、という人の参考になればいいかな?くらいの気持ちで以下、おまけ。
形)一番楽だし問題が少ないのは円。角があると縫いにくい・ひっかかりやすい(=とれやすい)。でも◯△□ 、不定形…。それはそれで面白い。
大きさ)補修箇所を覆う大きさのものは必須。後はそれを含めて大中小3つくらいの大きさを用意したい。これでリズムが生まれる。音楽で言ったら大太鼓のドンドンだけじゃなく小太鼓・シンバルも入れてドンちゃっちゃシャーーンにするわけだ。
色)同系色にまとめるのは一番無難(画像B)だが、実は大きな落とし穴がある。トップスに着るものを制限してしまうかも!ということだ。多少いろんな色が入っているほうがどんな服にも合わせやすくなる(画像C)。
たくさんの色を使い過ぎて収拾がつかなくなったら、みんな一個づつではなく同布で2個とか取る(画像D・小さいエンジ追加)。そうするとまとまり感でてくるよ。
バランス)これも基本は修理箇所が複数ならまずそこにアップリケを置く。後はこれも音楽をイメージ。あまり単調にならないように、同じ大きさ・色が集まらない・並ばない…などを注意しながら色々置いてみよう。
使えるコツは「ちょっと重ねてみる」「ちょっとフェイドアウトなものを入れる=側面・後ろにまわりこむ」。そこでできれば実際に着てみて横・後ろも見ながら最終位置を決定するといい。
6)アップリケを縫い付けよう
※両面接着シートを使用の場合はとりあえずアイロンで接着して終わり。使っているうちに取れてきたら初めて縫いとめてもよい。
縫い付けはアップリケ布とほぼ同色の糸で垂直にまつっていくのが基本。
しかしここも決まりなどはない。アップリケにブランケットステッチをしていない場合は逆に目立つ糸でバッテンにまつっていったり…など自由にどうぞ。
このときも先ほどの補強のときと同じ。間に本などをはさんで、一緒に反対側の布もすくってしまわないように予防しよう。また縫い目が大きすぎて履くときに指がひっかかるようなことのないようにね!
今回のは裏に返すとこんな感じ。糸が見にくくてゴメン。今回はだいたい2mmくらいかな?まあ1cm以下の縫い目で縫おう。
7)完成!大いに喜んじゃおう!バンバン着よう!
さあて!アップリケを全部くっつけたらできあがり!!
今回はお尻ポケットに向かう一匹を配置して大漁祈願だ!
また魚というモチーフなんでちょっとワザと並べてみたよ。
この子だけ ↑ 反対向かせて、ちょっとストーリー仕立てに。
ついでに一個余ったのでTシャツにも一個つけてみた!
たのしーーー!
さて、ご依頼の釣りキチさん。気に入ってくれるといいな!
さあ、キミのモチベーション、あがってきたかな?何?別に穴開いているジーンズがない?
開いてなくったってやっちゃえば?
おしまい。
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