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リメイク用の着物を「三方よし」で手に入れる方法

序の序)今回は多分今までで一番マジメな記事(でもって長い)。ミニマリストさんや断捨離の対極なのかな?でも根っこは一緒な気もする昭和な私の戯言に、リメイクに興味ない方も良かったら1.だけでもおつきあいくださいませ。

はじめに

前回このような記事を書いた。

着物の半幅帯を使って、ものの一時間で豪華絢爛・質実剛健・酒池肉林・夢のようなタブレットケースを作っちゃおう!というものである(多分)

 

しかし。

そもそも帯だの着物だの、持ってないもん!

 

という方のために、今日はその帯だの着物だのの入手方法についてまとめようと思う。

結論から言っちゃえば、タンス貯金ならぬタンスの肥やしになっている方の着物を譲ってもらって活用しようよ!ってことなんだが、そもそも何で着物が多くの家庭でタンスの肥やしになっているのか。そこから話を始めたい。

 

1. 着物がタンスの肥やしになっている3つの理由

 

着物リメイクの作品を作り、10年以上各地の手作り市に出店していて痛切に感じること。それは多くの年配の女性が(多少は男性も)着物をタンスの肥やしにしているという事実だ。肥やしにしてしまうのには三つの理由があることも見えてきた。

 

ひとつは帯を後ろ手に結ぶのは難しい、…など残念ながら年を重ねると着ることが難しく億劫(おっくう)になり、結果年々着物離れとなってしまうため(そして受け継ぐべき娘さんはいない、もしくは着ない)。

 

二つめはそうかといって売ろうとするとけっこう買いたたかれてしまう悲しさのため。貴重な大島紬だとかいうならともかく、通常は驚くほど安い値段になってしまう。もちろん襟や袖などにシミや汚れがあろうものなら、それこそ二束三文だ(値がつかないことも多い)。購入時の値段を考えたら「だったらいいわ。たいして場所もとらないし!」と再びタンスにしまい込むのも無理はない。

ちょっと脱線するが、「眠っている着物買います」と電話セールスをし、家までやってきて着物はあくまで導入。実はねらいは貴金属。こっちを引っ張りださせて買い取る業者がよく問題になる。そうしたすべての業者が悪徳業者だとは言わないが、貴金属の正当な買い取り価格を事前に必ず確認しておかないと、それこそ買いたたかれてしまうので充分気をつけよう!その日のうちに売らない、誰か第三者に立ち会ってもらう…振り込め詐欺と一緒だ。一人で即決してはいけませんよーーー!

 

そして三つめがその着物との思い出の深さのため。この着物はお見合いで着たもの。この帯は旦那さんが誕生日に買ってくれたもの。こっちはお姑さんから譲り受けたもの…手に入れた経緯、それを着たときのエピソード・・・洋服にももちろんあるが、着物はよりハレの日の思い出と直結して、ある意味その人の「人生思い出アルバム」なのだ。

断捨離・終活ブームとはいえ。死んだら煮るなり焼くなりご自由に。それまでは手元に…、そうした気持ちになられるのは、モノを愛しちゃいがちな自分としてはそうだそうだ、その通り!っと納得至極、なのである。

 

2. 「三方よし」でこの問題を解決しよう!

さんぼう‐よし〔サンバウ‐〕【三方良し】

《「さんぽうよし」とも》「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の三つの「良し」。売り手と買い手がともに満足し、また社会貢献もできるのがよい商売であるということ。近江商人の心得をいったもの。三方良し(サンボウヨシ)とは - コトバンク

 

これ、今どきだったら「WIN-WINの関係」とか言っちゃうトコなのかもしれないけど、スミマセン。昭和なアタシはこの言葉が、なんか生理的に嫌いなんで。勝ち負けじゃないし。売り手・買い手だけじゃないし。そう、社会も含めて三方によし、な日本の昔からの知恵で、この問題を解決したい!というわけである。

1) 売り手よし(着物を持っている方)

先ほどのタンスの肥やしの理由をそれぞれ潰していけばいいだけだ。

  • 着物を着るのが大変→着物でなければいい
  • 買いたたかれる→お金でなければいい
  • 思い出アルバム→いつでも身近になればいい

つまり、買い手(着物をもらう方)がお金ではなく、その生地を使って帽子・袋・コースター…などなど日々の生活の中で使えるものに、いただいた生地の一部を使って作ってお渡しすればいいのである。

タンスにしまっていたらただ「ある」だけの思い出の品だが、普段の生活で使い、日頃目にできるところにあるほうがよほど存在価値がある、と私は思う。

 

2) 買い手よし(着物を譲り受ける方)

では、買い手側のよし(メリット)は何か?

  • タダで入手できる。

まあ、簡単に言ってしまえば矢張りコレなのだが。いただいたものの一部で制作して返すことが前提である。なので制作日数がとてもかかるものだったりすると「タダより高いものはない」ということに。

また欲しい柄・色ではない場合もある。こうしたことの妥協点は事前に自分できちんと決めておかないといけない。以下、参考までに自分の場合のルールを記す。

  • 見せていただく前に、場合によっては引き取らないことがあることを事前にお話しておく(なんでも引き取って結局使わなかったら意味がない。相手にもモノにも失礼だ。ここはきっちり見極めて選定する)。
  • 柄として使えないけど裂き織りにしたら面白そう、染め直しをしたらイケそう、など自分の引き出しを広げる精進を怠らない(それこそ一生精進だ!)
  • 制作が比較的容易で相手に喜んでいただけるようなレパートリーを多く持って、先方に選んでいただく(何がいいですか?と聞くとトンデモナイことになるので注意!実際私はこれでパターンをイチからおこして作るチュニックだとか色々失敗をしている。制作大変&生地ほとんど残らないwwwまあ全てが自分の経験だ、ということで自分を納得させている)。

こうしたことが面倒だったら、骨董市や古着屋などをマメにまわる方がいいと思う。しかし、埋もれたお宝に出会う喜び、そしてそれが自分の手で新たに蘇って、その持ち主にも喜んでもらえる幸せを知ってしまったら…なかなか麻薬なんだな〜コレ。

 

3) 世間よし(その着物・帯・そして社会)

その着物・帯がそのものの姿でまだ使用可能なら、まずはそちらの道を模索する方がいい。そこで自分は本当に着る人がいないのか、状態のいいものは確認するようにしている。逆にシミや汚れがあるものこそリメイクの出番だ。ハサミを入れ、状態のいいところだけを使って生まれ変わることこそリメイクの真骨頂なのだ!

いまやユニバーサルな言葉となった「モッタイナイ」の精神は、単に古いもの、使われなくなったものを利用する、というだけではなく、一見「難」があるものを逆転の発想で「福」に転じさせてこそ生きてくるのではないだろうか。

  

3. ではどなたから譲ってもらうか?

私のおススメはこの順番である(家族も含めて自分が使う場合が基本だが、私のように制作・販売をしている人もこの順番がよいと思う)。

1) お祖母ちゃんやお母さん…など親族にもらう


わたしはいつもまずはココ。母がお茶・お花などの免状も持っていて、更にやれ歌舞伎だ、お茶会だ、と着物を着る機会が多いことも影響しているのかもしれない。

この一番良いところは「親類縁者が大切にしていたものを受け継げる」ということ。これについては過去記事に思いをつづっているので出来たらこちらをご覧いただきたい。

 

もちろん再三言っているようにそのままで使ってあげられる方がBESTだ。そこでそうして大切に使ってくださるなら自分ではなく赤の他人でもいいと思う。

しかしそうでない場合。

祖母や母、伯母・従兄弟…。その着物に宿ったその人の思い出ごと私が引き継いで、私自身のその人との思い出とともに、形を変えて私が受け継ぎたいな、と切に思う。

 

皆さんもせっかくなら自分に縁ある人のものが良くないですか?でもってお願いもワガママもしやすくないですか?どうでしょう。

 

2)  母の友人とか知り合いのおばさんにもらう

ここは上司でも先生でも隣のオバちゃんでも、まあなんでもよい。言うならば知人だ。


これも私の常套手段である。なぜなら この人たちはある程度私の考えなり作品なりを知っていてくれるから。そして親類縁者ほどではないが、まあ頼みやすいから。

 

3)  お店のお客さんからもらう

こちらはお店をしている人以外には役に立たないかもしれないが、自分の場合に少なからずあるので一応書いておく。

 

リメイク作品を並べて出店していると、多くの年配の女性に「うちにも眠っている着物、いっぱいあるわ〜」とよく言われるのだ。

ただしこちらの場合は、基本的に「お持ちの着物をリメイクしませんか?」と先にその方のものを作って、残りをいただくということで制作費を多少割引する形で対応するようにしている。理由は___簡単に言えばリスク回避になるのかもしれない。このブログはお客様にも存在をFB等でお知らせしているが、へんに言葉を取り繕っても仕方ないので正直に書こう。

 

人はそれぞれ色々な価値観を持っている。そうしたなかで「いただく」ことが前提のお話は、ともすればお客様との良好な関係を壊す危険性があると思うのだ。

例えば「あげるんだからともかく全部引き取って」というように、先に書いたような私の引き取りルールにそぐわない要求があったときに、それを全部交わしきれるだけの交渉能力は自分にはない。本当に「好意で」お声をかけてくださったにもかかわらず断らなければいけないとき、私は本当に申し訳ないと思う一方で、そこを譲ってしまったら、私は単なる「乞食」に成り下がってしまうとも思うのだ。

与えられるものはなんでも引き取る?使わないのに?

それでは「三方よし」にならないではないか。

 

タダでもらうくせに偉そうな、と思われるかもしれない。

思われるくらいなら、どうぞ私にくれないでください。

「三方よし」以外なら、この形は私に取って何の魅力もないのです。

 

 おわりに

浴衣ブームもあり決して完全に廃れていないにせよ、着物と言えども流行のある昨今。そして現代人は平均身長も伸び、昔の着物がそのままでは着られなくなっているのも事実。そうしたなか、たくさんの着物がその着た人の思い出とともにタンスに眠っている。

そう。貴方のそばに終活を考え、タンスの前で着物を眺めながら溜息をついている方がお近くにいるかもしれない。

もし着物リメイクで作りたいものがあるのに、その着物が手元になかったら…まずは近くの人に聞いてみてはどうだろうか?

あちこちで「三方よし」となることを祈ってる!

 

おしまい。

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