いや別に「夫婦げんか」いいねサイコー!って話じゃありませぬ。今日の日本語テーマは犬も喰わぬ「夫婦げんか」。この言葉、普通に使ってるけどなんで「けんか」じゃなくって「げんか」、濁るの?草木も眠る丑三つ時。この「くさき」はなんで「くさぎ」にならないの?はい、そのルール解明しましょー!
1. 複合語ってなに?(※省略可)
※言葉の意味には興味ない方→すぐ2へ飛んでしまおう!
ふくごう‐ご【複合語】
本来独立した単語が二つ以上結合して、新たに一つの単語としての意味・機能をもつようになったもの。「ほんばこ(本箱)」「やまざくら(山桜)」「かきあらわす(書き表す)」などの類。合成語。熟語。
これと似たようなことばで「連語」「繫辞」があるが、ちょっと意味が違う。以下参考まで。
れん‐ご【連語】
1 二つ以上の単語が連結して、一つの単語と似たような働きをもつもの。二つ以上の単語が結合して一つの単語と同じ働きをもつようになった複合語とは区別される。
けい じ 【 繫 ▼辞】
①周易の卦(け)を詳しく説明した言葉。
②〘論〙 〔copula〕 命題の主語と述語とを結びつける語。「人間は動物である」という命題における「である」の類。連語。連辞。コプラ。
ま、これはどーでもよい。気になるのはその複合語。どーいうときに濁音(″がつく・濁る)で、どーいうときに清音(濁らない)なのか?さあいよいよ核心へGO!
2. 複合語・清濁のルール
1. 前の語が後ろを説明しているとき=濁音
- 夫婦のけんか→夫婦げんか
- 子どものつくえ→子どもづくえ
- 麦のはたけ→麦ばたけ
- 山の城(しろ)→山じろ
例外)星のくず→星くず(❌星ぐず)
※後ろにつくことば(この場合くず)の第二拍(くず)、第三泊に濁音(テンテン有)があるときは濁らない
2. 前と後が対等・並列の資格のとき=清音
- 山と川→やまかわ
- 草と木→くさき
- 赤と白のチーム→あかしろチーム
- 百合・かもめ→ゆりかもめ
3. 撥音(ン)のすぐ後=濁音
- 番(ばん)+かさ→ばんがさ
- 円(えん)+たか(い)→えんだか
- どん+つまる→どんづまり
※複合語にはこのように名詞+名詞だけでなく動詞や形容詞などもいろいろあるが、ここではそのことまでは言及しない。
※この説明で行くとざんねん+しょう=ざんねんじょう(残念賞)では?と思われるかもしれないが、この『賞』は音読みのことば。ここでは基本はそれぞれが独立して成り立つ語ということで訓読み+訓読みの語である。
4. 促音(ッ)のすぐ後=清音
※後述する今日の参考文書にこう記されていたが例がなく、今自分でも思いつかないので{吉兆(きっちょう)とか音読みだし}、後ほど見つけたら追記する。そこで今は見出しのみですみません!
まとめ
- 前の語が後ろを説明しているときは濁る(やまざくら)
- 前後が対等・並列関係では濁らない(くさき)
- ンの後は濁る(えんだか)
- 小さいツの後は濁らない
どうでしょう?日本人は無意識にこのへんやっていることだと思うけど、外国人に「なんで?どーして?」と聞かれたら、ふふん。それはね…と、ぜひドヤ顔で教えてあげてくださいな!
しかしコレ、地名とか人名とかのルールにはなりませんっ!山崎さんは「やまさき」さんだったり「やまざき」さんだったり、「いばらき」だったり「いばらぎ」だったり…ああ、これが一番日本人には難しいんだよーーー!
茨城県のみなさん!「いばらぎ」って言っても怒らないでぇ〜!
今日の参考文献
読み物として読みながら日本語のイロイロがわかる!初出は1995年とちょっと古いけど、古さをあまり感じないでサクサク読めた(まあ、それは自分が昭和な人だからかもしれないが)。
最後にこの本に載っていたこちらの言葉を引用させていただいて、終わりの言葉としよう。
世の中は 澄むと濁るじゃ 大ちがい
刷毛(はけ)に毛があり 禿(はげ)に毛はなし
お後がよろしいようで。
おしまい!