※家の中から外の道路を眺めたところ
※今週一週間も過去のメール焼き直し【海外生活】ネタを掲載!※
Date: Fri, 31 Mar 2006 14:38:03 +0900 (JST)
Subject: メキシコ・行商事情
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皆さんこんにちは。みゆまっしーです。(中略)この家に一日いると実にさまざまな物売りの人や車が前の道を通り、これが実に種類もその呼び声(?)も多様で面白いので、今回はこの辺の情報をお送りいたします。
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行商人たちを大きく分けると三通り。よく通る威勢のいい声が勝負の「掛け声派」、ベルを鳴らして存在を知らせる「リンリン派」、拡声器を使って(この場合圧倒的に車使用)の「語り派」である。しかし同じ拡声器でも後述するタマーレス売りのように語りと言うよりは「唄い」と言った方がいい場合もあり、この分け方・名称も多少無理があるのだが、便宜上このように分けて以下それぞれを見ていこう。
1)掛け声派のひとびと
- まず朝一番の10時ごろ、赤ちゃんを商品と一緒にリヤカーに乗せドデかい声で叫んで通る女の人。日曜も休まず皆勤賞な働き者なのだが、しかしこの掛け声が判読不可能。私には何回聞いても「テオドーロォ~」としか聞こえない。
大家さんがテオドーロという黒いラブラドル・リトリバーを飼っているので、
いつも彼女が通るとテオドーロに「友達が来たよ」と声をかけていたところ、この家に友人Mちゃんが滞在中、走っていって何を売っているのか確かめてくれた。
謎のテオドーロの友人の正体はタマーレス売りだった(タマーレスとはトウモロコシ粉で作った生地に肉や辛く煮込んだ豆などを詰め、とうもろこしの皮に包んで蒸して作った、こっちで軽食として一般的なもの)。
しかし謎が解けた今もやっぱり「テオドーロォ~」としか聞こえない彼女のデカイ声が今日も朝の到来を告げるのだった…。 - 次にやって来るのはたいていガス屋である。
「ンガーーース、ンガーーース」と実にシンプル。実際ガスのタンクを積んだ車は少し離れたところに停まっていて、若者が歩きながら声をかけて回る。
うちもタンクを2個所有していて一本空になるとお兄さんに20リットルを一本お願い、と頼む。そうしたら部屋で待っていればいい。そのうちゴロゴロゴロ…とタンクを転がしてくる音が響いてくるのでそうしたら外の門を開けて彼を迎えればいいのだ。ちなみにこれ一本でうちは約1ヶ月半もつ。値段は170ペソ(約¥1700)くらい。 - 毎日ではないが日中通るのが、このほか「古鉄買うよ~compro fierro viejo~」といいながら通るくず鉄屋さん、リヤカーに木製の椅子やサイドテーブルなどを乗せ、「椅子~机~」とこれまたシンプルに叫びながら通る家具屋さんなど(しかしこんなもの、待ってました!と飛んで行って買う人いるんかね…)。
その他にもいろいろな物売りが通るものの、結構何を言っているか判らないものが多く、Aに聞いても彼もわからない場合が多い。まあわかる人にはわかる、ということで彼らの掛け声は次のリンリン派と同じ単なる合図といってもいいだろう。
2)リンリン派のひとびと
- 昼の一時ごろカランカラン…と鐘の音が響いてきたら、それはゴミ回収車到来の合図である。
私はこの音を聞くたびに中学時代陸上部に在籍し800m走をしていた頃よく聞いた、トラックラスト一周の合図の鐘の音をなぜか思い出す。とはいっても一般の人には馴染みがないかもしれないので、しいていえばアルプスあたりの羊飼いが羊を追いながらのどかに響かせている鐘の音を思い浮かべていただければ一番近いかもしれない。
ともあれメキシコのゴミだし方法はいろいろだが、この辺の地区は日本と違い一定の場所に出しておくのではなく、ゴミ回収車が来たらそれっ!と皆ゴミを抱えて道に飛び出さなければいけない。そしてチップを少々。音楽をガンガンかけていると聞こえないことも多く、ちょっぴり面倒と言えば面倒だ。
しかし出し損ねてもリヤカーにゴミを集めて回る個人営業のごみおじさんも同じ鐘の音で頻繁に通るので、なんとかコンスタントにゴミだしが出来ているといったところ。
ちなみに現在メヒコはゴミ分別を義務化しているのだが、いくら家庭で分けてもゴミ回収車でいっしょくたにされてしまうのではっきり言って有名無実な条例である。
※ゴミを捨てにいく同居人A - 1の鐘の音に近いので一度間違えてゴミを抱えて飛び出してしまったところ、シャーベット屋さんだったことがある。よく聞けばもうちょっと高い音の鐘である。
こっちではこのようにリアカーの流しや屋台で道端に店を出す手作りアイス屋さんやシャーベット屋さんが多く実にお手軽である。 - 夜も更けてきた頃「パープー」と日本の豆腐屋さんの音が道に響く。当然豆腐屋ではなく、これはパン屋さん。
これまたリヤカーに菓子パン系などを数種乗せやってくる。以前は情緒ある「パープー」だったのだが最近代替わりしたのか「プ・プ・プププ」に代わり豆腐屋というよりはサッカー観戦サポーターになってしまいちょっと残念であるが、音を楽しんでいるだけで一度も買ったことがない私は当然文句の言える立場ではない。 - その他もっと高いチンチンチンと言う鐘を鳴らし、給食の食缶みたいなものを斜にかけて通るお姉ちゃん。彼女も謎の物売りである。一度帰宅途中に遭遇し、何を売っているのか聞いてみたかったのだが、ともかく彼女の歩調が異様に早い。あっという間に遠くへ行ってしまい結局聞けずじまい。彼女からモノを買いたくても家から財布を持って出た頃には姿が見えず…ということになりそうで、それじゃあ意味ないじゃん、美容と健康にはいいかもしれないけど、と他人事ながら心配しているところである。
3)語り系のひとびと
- 日本でも「おいも、おいも、おいも~だよ。あったか~いおいも~っだよ。さ~あ、いらっしゃい♪」といった唄い系の石焼いも屋さんがいるが、節回しといい、内容といいそっくりなタマーレス屋が時々通る。
「うまい~タマーレス・オアハケーニョ~、ポッカポカだよ~♪」(オアハカ風・タマーレスはとうもろこしの皮ではなく、バナナの葉で包んである。よりしっとりしていて私はこっちのほうが好き)といった感じ。
車で営業しているからか彼の行動範囲は結構広いことをこの前発見。というのはかなりうちから遠いAの兄弟の家の近くを同じ声、節回しの車が通ったからである(まあ、同じ録音を使った別の車の可能性もなくはないが)。 - その他DJ風の異様にハイテンションな移動サーカスの広告(今日限り一人たったの20ペソ!とか言いながら一週間それを言い続けていた)、メキシコは今年5月だか6月だかに大統領選挙なのだが、その一候補者のソカロ(メヒコ市の中心広場)での街頭演説会の告知…など、拡声器での語り系宣伝カーもそれなりによく通る。
またこれはメヒコではなくプエルト・エスコンディードにいた際、後ろが檻になったトラックに白いライオンを乗せ、これまたハイテンションな宣伝文句を並べたてた移動動物園の宣伝カーを数日続けて見かけたことがある。日中カンベンしてくれ、というウダるような暑さのなか、日陰に逃げることもできずアスファルト上を引き回され、ライオンもいい迷惑であろう。かわいそうに。
とまあ、ざっと見ただけでも種々雑多な物売りが家の前を通ることをわかっていただけただろうか。日本でも物干しざお屋さん、灯油屋さん、歩く宣伝カー「チンドンや」など外国人からみたらきっと面白いんだろうなあ。
ともあれ店を構えるのには資金が要るがそうした必要のない行商はメキシコではあたりまえで、メトロやバスなどの交通機関のなかや、大きな交差点なども非常に重要な商業ゾーンと化す。次回はこの辺の事情をお伝えしよう。
以上、メキシコは首都メヒコのソチミルコからみゆまっしーでした。GRACIAS!(2006,03,30)
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長い?二回に分ける?お付き合いありがとうでした!(2016/7/11)
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