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『地球』を売る男に買う女=見知らぬ二人の往復書簡=

 

2016年10月21日 (下書き)

KJ

いつもいつも自分の都合でお便りする非礼を御許しください。 

今回お便りするのも、まったくの私の自己中心的な都合によるものです。と言いますのは、実は日々私が駄文を垂れ流している「はてなブログ」というところで、現在このような懸賞つきブログ記事の募集が行われているのです。

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買い物にまつわる話ならなんでもよい、というこの趣旨を知ったとき、私の頭に真っ先に浮かんだのが、

地球儀への愛がそれこそ地球レベル売り手と買い手の話

でした。しかしこの話を語るには、どうしてもKJ様からいただいたお便りの内容を使わせていただく必要があり、その許可をいただきたくこうしてお便りをしている次第です。

 

それにしてもすっかりご無沙汰してしまいました。

最後にKJ様よりお便りをいただいたのが2004年でしたから、ちょうど干支が一周してしまった計算になります。ですが一番始めにお便りをいただいた19年前のことも、まだまだ昨日のことのように鮮やかに思い出されます。そしてそのお便りをKJ様から頂戴するきっかけとなった、

新宿の某百貨店の文具売り場での凛とした佇まいの地球儀の姿。

それを偶然目にして一瞬にして恋に落ちたあの瞬間の気持ち

その日のうちに家に連れ帰り、飽かず眺めたあの幸福な時間も…。

 

 

一通めの手紙(1997,12,10)

平成9年12月10日

私の住所
みゆまっしー

リプルーグル・グローブス・ジャパン㈱
社長 KJ 

望外なコメントに対する御礼について

前略

 この度は リプルーグル地球儀英文カーライル型 をお買い上げ賜り有り難うございます。Replogle Refresh Program の登録はがきに大変有り難いコメントをお寄せいただき商売冥利につきる思いで、社員一同に回覧させていただきました。厚く御礼申し上げます。

 

現在児の母親になっている私の娘が小学校に入学した時ですから今から20数年むかしになりますが、地球儀を買い与えようと思ったのが始まりでございました。

伊東屋、丸善、三越、高島屋と文具売り場を見て歩きましたが、当時の地球儀は真っ青な海、真っ赤な日本、ピンクの合衆国、緑のソ連に決まっているようで、太い鉄道線路が数本引かれている子どもだましのような物ばかりで大変失望いたしました。

米国のReplogle Globes, Inc.の地球儀とその会社に惚れ込んだのが運のつきで以来二十数年間この売るのが難しい商品を抱えて汗を流しております。それでも昭和の末期から平成の初めにかけては需要が高まり、いささか経営も安定しましたが平成3年末に突然ソヴィエト連邦が消滅しますと明けて平成4年の新年には地球儀は全く売れなくなってしまいました。第二次世界大戦後約半世紀続いた東西冷戦の終結は、その接点の国々を激しく揺さぶって平成7年までは独立国の誕生が相次いで、毎年地図の改訂が必要でございました。

ようやく世界情勢は落ち着いてこれからの需要の回復に期待をつないでいるところでございます。(中略)

地理学ご専攻のみゆまっしー様には釈迦に説法になりますが、人類が正確な世界図や地球儀を必要とし始めたのは15世紀末から16世紀初めの地理上の新発見の時代からだと思っています。

それ以来約400年間主にヨーロッパの人達が未知の境を探求して、世界の空白を埋めて1884年に本初子午線をグリニッ手を通る子午線と国際協定した時に近代地球儀は完成し、それ以後はもっぱら地球上の覇権の消長の後追いに終始しております。

冒険航海家や船長達の個人的な或は一国の地理的な情報を集大成して世界図を万人の知識とした欧米のシステムには脱帽で、伊能忠敬の大日本沿海実測図の写しをシーボルトに渡した幕府天文方の高橋景清が罰せられた当時の日本の行政に失望し、現在を憂えています。

平成6年にはあまり地球儀が売れないので少しでも関心が高まればと、文具の専門誌に一年間12話の我田引水の文章を書かせてもらいました。コピーを同封いたしましたのでご笑覧ご批評いただければ有り難く存じます。

お名前とモデルは当社のコンピュータに入力いたしましたので、数十年後に球だけご用命くださいますようお待ち申し上げております。

この度は誠に有り難うございました。よい新年をお迎えください。

早々

(※改行位置を数カ所ブログ主が改変) 

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二通めの手紙(2004,7,21)

 

KJ様 またReologle Globes Japan社の皆様

 

突然お便りをするご無礼をお許しください。

私は平成9年に御社の「カーライル型(私の登録番号)」を購入した者です。先日引っ越しの際に荷物を整理していましたら、コピーを同封させていただきましたK様からの暖かく、また地球儀への愛に溢れたお便りを再度拝見し、いてもたってもいられず筆を取った次第です。

まず謝らなければいけないのですが、私はつい一ヶ月前その地球儀を手放しました。いえ、手放してしまいました。

6年前の登録はがきでどのようなコメントを書いたかは失念してしまいましたが、あの地球儀と出会った時の興奮は昨日のことのように思い出されます。当時働きながら武蔵野美術大学短期大学部の油絵科を受講していた私は、その卒業制作のモチーフで御社の地球儀を使用させていただきましたし、それ以後もずっと「一生の宝」と思い、家に訪れる友人に自慢しては彼らの賞賛と羨望の声を受け、我が事のように誇らしく思っていました。

 

家に人を招いてパーティをするのが好きな私。友人とともにワイワイと、また一人でのんびりと、過ごす全てのときに、どっしりとした存在感でそこに在り続けそして照らしてくれた地球儀を、では何故手放してしまったのか。

それはこの8月末から私がメキシコに最終的には定住を目的に行くことを決意したからです。ただメキシコが最終となるかはわかりません。10代の頃から将来の夢は「南米移住」と聞かれる度に答えていた私は、とりあえずメキシコ(メキシコ人の友人またその家族と非常に懇意にしていただいているので、スタートとしては心強いのです)から、しばらくは現在興味のある布・織物を学びながら、いろいろな国・地域を歩きながら、自分の生きる道、生きる場所を探していきたいと考えています。

そのようにしばらくは根なし草の生活となるので、落ち着く先が決まるまでは荷物は極力少なく…と考えたとき、それまでひっそりと地球儀に待っていてもらうのではなく、やはり人に見られ、人を照らす存在として在り続けてほしいという思いから、今回手放す決意をした次第です。

多くの友人が欲しがった地球儀でしたが、私同様またはそれ以上に気に入ってくれたOさんというご夫婦にお譲りしました。UP DATE等の御社の素晴らしいサービスが彼らも受けられ、近々初めてのお子さんが生まれるそうですので、その子の未来をも照らし続けてくれることを願ってやみません。

そして再び私をも…。

地球を股にかけ(えらそうですが…)歩き廻っている間は心の中に、そして落ち着く先が決まった際には、その家を飾るものとして一番に再びリプルーグルの地球儀を家のなかに置きたい!と思っています。

自分のことばかりダラダラと書いてしまい恐縮です。

ですが、かつて娘さんのために地球儀を探され、リプルーグルの地球儀に「惚れ込んだ」とおっしゃるK様のお言葉を拝見し、私は逆にまず自分が惚れ込み自分のものにして、ですがそれを自分のものだけではなく、やはり小さな子どもにこそ本物の地球儀と接していてほしい(もちろん大人にも!)と現在思っているものですから、強く強く共感してしまうのです。

そしてこのような満たされた気持ちと時間を与えてくれたリプルーグルの地球儀に、そしてそれに出会わせてくれた日本で販売を始めてくださったK様に、少しでも尊敬と感謝の気持ちをお伝えしたく今回失礼を承知で筆を取らせていただきました。

素敵な出会いを与えてくださり本当にありがとうございました。

乱文乱筆をお許しください。

最後となりましたがK様と御社のますますのご活躍をお祈りいたしています。

 

2004年7月21日
みゆまっしー

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 三通めの手紙(2004,7,25)

拝復

有り難いお手紙を拝受して商売冥利につきる思いでございます。

私は◯◯才で一昨年引退いたしましたが、ボランタリーとして毎日午後は荷造りをして手伝っております。

米国のリプルーグル・グローブス社は来年創立75周年を迎えますが、私はその歴史の約半分に縁がございまして、記念誌編集用に古い話と写真を送ったところでございました。

地球儀という無くても生活には一向に支障がない商品のみを売っておりますと良い年も悪い年もございます。不景気な時は直ちに法人の需要が消滅します。よく売れる良い時期には続いてやって来る不況に備え、売れない年にはじっと我慢して40年を過ごして参りました。

今年は永く続いた不況から何とか抜け出そうと、販促用の絵葉書を計画して一作目が出来たところでしたから数枚同封いたしました。お気に入り頂ければ嬉しく存じます。毎年二種類ずつ6年間で12枚作る予定で日向山寿十郎と云う私の友人のイラストレーターに依頼しております。初回は一級の冒険航海家で地球儀の広大な部分の空白を埋めてくれたジェームズ・クックを取り上げております。

安定したご生活を捨ててメキシコに旅立たれるみゆまっしーさんに海図なき嵐の海に旅立ったクック船長を重ねております。どうぞお元気でご活躍くださるよう心より祈念申し上げております。

この度は私の事を憶えていてくださり有難いお便りに心より感謝申し上げます。

早々

平成16年7月25日

KJ

みゆまっしー

 

四通目の手紙 (2016,10,26  未送信)

KJ

最後に頂戴したお手紙の封書にご自宅の電話番号の記載がありましたので、失礼を承知で先日お電話をいたしまして、電話口に出てくださった奥方様より伺いました。KJ様が昨年からは、大きな大きな本物の「地球儀」を天空からご覧になっているのだ、ということを。

気が動転してしまい、奥方様に、またその後お電話させていただきました現在の社長F様にも十分なお悔やみの言葉も言えず、慚愧の念に耐えません。

ですが…。結局一度もKJ様にお会いすることもお声を聞くこともなかった私ですが、やはり再度心からの感謝をこの便りで三度ほど述べることをお許しください。

 

まず一つ目。

私の人生の節目節目で間接的に、特には直接的に、大きな潤い、幸せ、励ましと指針を与えてくださいまして本当にありがとうございました。

 お便りのなかでも書かせていただきましたが、2つ目の大学での卒業制作で地球儀をモチーフの一部に使用させていただきました。実はここにもう一つ私の人生の大きな予言(?)が隠されていたことに、今さらながら今回 気づいた次第です。

それは…ドアの向こうに描いた当時深くは考えずに選んだ風景。

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 なんとマヤ遺跡のピラミッド!

 

残念ながらメキシコではなくホンデュラスのコパン遺跡のイメージで描きましたが、まさにその後の私の人生が、この方向に向かって扉が開かれた象徴のようです。その風を送ってくれた基(もと)。それは間違いなく日ごと眺めることで世界へ飛び出していきたいという私の気持ちを熟成させ背中を押してくれたこの地球儀でした。今この絵を改めて見て戦慄を覚えつつ確信している次第です。

 

実は2016年の今もまさに12年前と同じ状況です。

私は再びメキシコ、そして出来るならそこから足を南に延ばして中南米へと再び出発しようとしています。そうしたまさに今、ブログ懸賞に応募というかたちがきっかけにせよ、こうしてKJ様のお便りを読み返していることに、何か大きな意味があるのではないか。

KJ様にははなはだ迷惑な話かもしれませんが、私は何かここにKJ様や地球儀からの引力や重力、を感じないではいられません。

 

二つ目。

商売人としての心構えをお教えくださり本当にありがとうございました。

メキシコから「一時帰国」していたここ数年。私は日本で自分で制作したものを手作り市などで販売する生活を送っておりました。その折々にKJ様の背中を見ていた思いがいたします。

  • 自分が「売る」ものに愛を注ぎ、自信と誇りを持つこと

  • 顧客からの声を大切にする気持ちと行動力
    二度のお便りに加え、2004年7月21日付けの私の手紙に7月25日にはお返事を書いてくださり速達でお送りくださったこと。私が海外へ出発する前に間に合うようお急ぎくださったそのお気持ちにお礼の言葉もありません。

  • 「売った後」まで、いやその後こそ責任を持ち対応する大切さ
    国の統合や独立で日々変わる地球儀の中身。そこで変化に合わせ球だけを交換できるという御社のシステムに、大量生産・大量消費の時代において、本当にモノを大切にするための作り手側の気概と良心を教わりました。

たった三度ほどのお手紙のやり取りのなかではありますが、さりげなく、ですが本当に大切なことをたくさん教わりました。もちろんKJ様には教えてやろう、などというお気持ちが微塵もなかったことも充分承知しています。ですが逆にそうした姿勢も含め、私は多くをKJ様より学ばせていただきました。そのことを忘れず今後私も精進していきたいと思います。

 

三つ目。

日本に、私の目の触れるところに、すてきな地球儀を持ってきてくださり本当にありがとうございました。

 

再び地球儀を手に入れる日も、直接お礼が言える日も、残念ながらまだまだ先のことになる予定です。

その日が来るまでは、バスコ・ダ・ガマやクック船長、そして伊能忠敬さんなどと地球儀・地図談義をしながら、大きな美しい地球儀の上を右往左往する私を、どうか今までと同じように温かい眼差しで見守っていただければ望外の喜びです。

最後まで自己中心的な自分に呆れかえっていらっしゃるでしょうか。ここまで来たら開き直りです。どうぞお笑いください。

それでも地球は回ってる。

その上で、私も廻り続けたいと思います。

いつの日か、笑ってお会いできる日を楽しみにしております。

乱文乱筆ご容赦ください。

2016年10月26日
みゆまっしー

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追記)お便りはご本人(故人)のご家族より使用の承諾をいただいています。その折に本文の内容についても全て一任いただいております。そこで本文の内容には当該の会社 は一切関与しておらず、すべて私本人のみの責任において執筆していることをここで明言しておきます。ご理解をよろしくお願いいたします。

 

 

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