メキシコとアメリカの国境の街に住んで早4ヶ月。
国境っていっても広い。どのへんか、というと
ほぼ大陸のど真ん中。新鮮な魚はまず無理…なんだけど、妙に魚介類のレストランの多い、カラッカラの砂漠気候の街です。
メキシコ側をシウダーファレス(一応100万都市)、アメリカ側をエルパソと言いますが、ここはもともと昔は一つの街でした(メキシコが戦争に負けて領土をガッポリ取られた)。
まあ、そんなこんなの歴史もあるからか、今でもフツーに毎日国境を越えて通勤している人も多く、生活圏はけっこう重なっているし、アメリカ側でもほぼスペイン語で困らなかったりする(アタシは英語が話せない!)のですが…
国が違うと文化がこうも変わるのか!
と、驚くことも多いです。
ということで、今日はそのへんをバスを例に見てみましょ〜!
アメリカ・メキシコ路線バス比較
今回の比較ルート
それぞれの空港からダウンタウンまでの路線バス
こんな近いのに、どっちもソコソコ大きな都市なのでお互い空港を持っている。
で、どっちも空港からダウンタウンまで車で30分くらいの距離。路線バスがどっちもある。そして野暮用で同じ日にこの両方に乗ったアタシ。
これは較べるのに最適だ!
ついでに迷い込んでこのページにきた旅行者さんに、ひょっとしたら役立つかもしれないしね!ということで、以下、この2つのルートを紹介&比較してみよう。
【基本情報】
アメリカ側:バス会社SUN METRO ルート33
メキシコ側:路線名PONIENTE SUR
1. ダウンタウン駅
◉アメリカ側
- 国境ゲートを越えて数ブロック進んだ西側に近距離路線バスのロータリーがある。日本の駅前のバスロータリーみたいな感じ。
- バスルート番号ごとに乗り場が決まっていて、次のバスは何時何分着…なんて電光掲示板に現れている。このヘンも日本のバス停っぽい。
- でも中心にトイレや売店などが入った建物もあったりするので、やっぱりロータリーっていうよりはバス駅っぽくもある。
- ここで新聞みたいなスタイルの路線図や時刻表なんかももらえる(バスの中にもあるそうだ)。
◎メキシコ側
- ロータリー?そんなものはない。
国境を越えてアメリカ側よりはもうちょっと直進、カテドラル(大聖堂)そば(具体的には歴史博物館の裏くらい)、ダウンタウンのど真ん中の人がゴチャゴチャしている道に、いろんな路線のバスがゴチャゴチャッと来る。 - なんの表示もないが、一応この路線はこのヘンに停まる、という暗黙の了解はあるようだ。しかしカチッと決まってないから並びようがない。
みんな道にテキトーに立ってて、バスが停まるとそれっ!と並ぶ。 - 路線図?時刻表?見たことない。
一度シウダーファレスの観光案内所で欲しいと言ってみたところ、ない!とアッサリ蹴られた。一応WEBであるにはあるが、開いて5秒で閉じたくらい、ゴチャゴチャでワケわからなかった。
2. バスの外観・内装など設備状況
◉アメリカ側
- SUN METROというバス会社のものは皆同じパッケージ。
- 基本的にキレイ。また基本ノンステップバス。広い乗車口で車いすやベビーカーもそのまま乗れそう。
- 中も実に清潔・クリーン。
◎メキシコ側
- 一応路線ごとになんとなく色や塗り方は決まっているようではあるが、マチマチ。そもそもメキシコの路線バスは基本個人営業。多分個人でバスを調達して、登録して運行するシステムと思われる。
※コチラがこの街のバス団体?のFacebookページ。いろいろなバスが見られるのでよかったら覗いてみてね!
Transporte Público De Cd.... - Transporte Público De Cd. Juárez | Facebook - 自分の持ち物だからか、日本のダンプみたいな飾りジャラジャラ(八代亜紀・命!とか、あのノリ)や、自分の好きな曲ガンガンや、親族・友人を横に乗せてずっとしゃべってたり、携帯取ってしゃべったり(当然運転中)…基本なんでもアリ、運転手ファーストの環境である。
- なので乗客は二の次。乗り口は狭い階段、通路は狭くベビーカーはたたんでも乗れないのでは?見たことがない。
超新品の車にあたることはあるが、基本ボロい(座ったら椅子が床にバーーンと落ちたこともある)・落書きだらけ。
この前の座席が落ちた。見兼ねて後ろのオジさんがここを譲ってくれた。
3. バスの運賃・支払い方
◉アメリカ側
- 均一料金1.5ドル(2017/5で約170円・ちなみにNYは2,75ドルだそうだ)
- お札・コインのそれぞれの投入口、そしてチャージカードの差し込み口がある機械が運転手の横にあるのでそこに入れる。
(下の写真。2ドル払ったらおつりはこのカードできた。次回利用)
◎メキシコ側
- 基本均一料金7ペソ(約40円!・メキシコシティなどは乗車距離で値段違う路線もある)
- 基本、というのは新品のバスだと8ペソ!と言われたりするから。ええ〜!と言って7ペソしか渡さなくてもチッ!くらいで特に問題なかったりする。
- 機械?そんなものはない。運転手に手渡しである。
4. 乗車率・乗客のようす
◉アメリカ側
- 行き帰りともガラガラ(たまたまかも)
- 一人で乗車が多い(たまたまかも)
- 他のバスもイロイロ見ていると運転をやめたシニアの利用が多い気がした(逆に言えばそうじゃない人は基本自家用車を使用)
- そこで基本とても静か(たまたまかも)
◎メキシコ側
- いつも混んでいる
- 一人も多いが、一族郎党すべて?という団体さんも多い。子どもが多いと間違いなく賑やか
- 老若男女すべている
(自家用車が買えない低所得者の貴重な足。そこで中流以上の人は乗らない。危ないからやめろ・UBERを使えなどと言われるが、基本的な用心を怠らなければ問題はないと思う) - マチスモの国は逆に女子に優しくすることが当たり前なので、おじいさんでもアタシに席を譲ってくれる。
【関連記事】
アタシに席を譲らせる、スマートな三人の男たち
5. 降車の知らせ方・降り方
◉アメリカ側
- 窓側に張られたロープ(「降りる駅が近づいたらこれを引っぱって」と英語とスペイン語で書かれてある)を引っぱると正面の電光掲示板に「次停まります」と「停留所名」が現われ、停留所の表示のあるところにちゃんと停まる。
- 基本は後ろの降車口から降りる。皆さん降りる際に運転手さんに手を挙げお礼。運転手さんもバックミラー越しにほいっ!と手を挙げ挨拶。
◎メキシコ側
- 「降りるときは押してね」と書かれているボタンはたいてい壊れている。
- 降りるところが近づいたら「BAJAR!」と叫ぶとテキトーなところで停まる(ちなみにメキシコシティはBAJAN!だった。これは北部弁か?)。
- 大きなスーパーの前などは椅子だの看板だののあるリッパな停留所があるが、他は基本何もない。だから逆に言えばどこでも手を挙げれば乗れたりもする。
- 「後ろから降りてね」と書かれていても混んでたら前からだって降りる。
- 地域によるがこのファレスは乗車時も降車時も無言が多い。時々Gracias!というと「buen dia!(いい日を!)」と返してくれる運転手さんもいる。
- 電光掲示板?外を飾る電飾以外見たことない。
6. 空港の停留所
◉アメリカ側
- ちゃんと空港の敷地に入って、ターミナルの前で下ろしてくれる。
◎メキシコ側
- 空港の近くの幹線道路上で降りて、自分でテクテク空港へ向かう。
7. それ以外の特色
◉アメリカ側
今まででこの日の往復2回しか乗っていないが、帰りは女性運転士さんだった。日本でもいるが、メキシコでは未だかつてお目にかかったことがない。
◎メキシコ側
- 帰りのバスだけで2組の流しの歌を聴く。
このように流しの歌、一人漫才、スナックや飲み物などの行商…いろんな人が乗ったり降りたり、しゃべったり歌ったり、ともかく賑やかなのがメキシコのバス・地下鉄だが、アメリカ側では現れそうもない(NYの友達曰く、NYの地下鉄はマリアッチ2人組だのポールダンスだのイロイロ現れるらしい)。
【関連記事】
メトロもバスも動くコンビニ!?【メキシコ行商事情・交通機関編1】
まとめ
快適な公共機関のアメリカのバス。全体的に日本のと似ている。
良くも悪くも自由なメキシコのバス。しかし地元民以外には敷居が高い乗り物だ(運賃は安いけど)。
メキシコ・シティやグアダラハラなら地下鉄がある。コッチの方がまだ旅行者でも比較的使いやすい。是非乗ってみてね!
そして出来たら…もっと庶民の足。路線バスも是非どうぞ!地下鉄では見られない外の風景も楽しいけど、中もホントいろいろ面白いよ〜!!
てなところで、おしまい。
★関連記事(10年前の第一期メキシコ時代ネタ)★
メトロもバスも動くコンビニ!?【メキシコ行商事情・交通機関編1】
路上は人生劇場なのだ【メキシコ行商事情・交通機関編2】
メキシコ・行商事情2006【住宅街・流し編】
なぜメキシコ人は本を読まないのか【メキシコ・娯楽事情】
暑いならこんな家を作りたい【メキシコ・セルフビルドのススメ】