【NOと言えないメキシコ人】第三話です!
メキシコ人に頼みごとをすると何でも快諾してくれるけど、実際は返事だけ?どーなのソレ!?
という、たった43文字で要約できる話を、ココまで引っぱるつもりはなかったんですが…ダラダラ本当にすみません。今回こそ完結します!ホントです!
2ヶ月放置の椅子も、41℃の世界で壊れた冷蔵庫も、ついでに思い上がったアタシの根性ワルも、全部解決(と信じたい)!
裏テーマが「アタシの愛しのチョコアイス」。
さあ、全ての結果発表です!
◉前回までの話◉
NOと言えないメキシコ人。(イヤ、いっそ言ってくれっ!)
チョコアイスの1週間【NOと言えないメキシコ人2】
キツネとタヌキの化かし合い
私の勤める中学・高校はほぼ授業を終え、追試の生徒がポツポツ来ているくらいの6月最後の月曜日。私は人気(ひとけ)のない校内のカフェテリアで一人朝食をとっていました。
ちょっと補足
第一回で、学校の敷地内に住んでいる(住居費は給料のうち)ということは話したが、実は平日の朝食と昼食もこのカフェテリアで支給されている(これまた給料のうち)。
ついでに教員のユニフォームなんかもポコポコ支給され、つまり衣食住のほぼ全てをタダで賄えるという夢の環境だが、その分給料もめっちゃ安いのでめちゃくちゃおススメ!というほどの環境でもない。 |
そこへ、例の用務員チーフ・アンドレイ登場!
「オハヨーゴザイマス!オニ!」
今日も無意味に無駄に陽気です。
ともあれ、こっちでは元気?とかの一通りの挨拶をしないと無礼?野暮?なので、顔を見た瞬間から『れ』を言うクチが出来ている自分を必死で抑えつつ、ニコヤカにご挨拶。
「そーいえば、前に焼き肉会に行きたいって行ってたねえ…、ベラベラベラ」
確かに言った。でも今は肉よりれ! re!
その思いが私の体中から発散していたのでしょう(彼は彼でこの話題を避けるため余計な話をしているんだろうが)。
「そうそう、例の冷蔵庫(refri)だけど…」
「うん!今日戻ってくる?!」
「やっぱり壊れてたわ〜。今修理してるよ〜」
・
・
・
まあ、そんなトコでしょね。
「まあね、今はいいよ。一日2食はココ(カフェテリア)で食べるから、そんなに食材は買わなくっても。
でもね、そのカフェご飯も明日まで!
あさってからは夏休み!そうすると3食自炊なの!冷蔵庫ないと無理だよ!このクソアツいなか毎日買い物?途中で干涸びちゃうよ!
お願い、急いで〜!忙しいだろうけどよろしくねっ!」
心からの叫びなのです。ホントに。
例えばコッチの卵は1パックがデカい!一番小さくて12個入り(日本は4個とか6個とかでも売ってるのが懐かしい)。常温に置いていたら先日白身がなんか不気味にトロンとしていて怖かったです(まあ、食べてもなんとも無かったから結果オーライ)。
「わかった!任せろ!超特急で直してみせる!」
うわ〜超ウソっぽい…
「さすが!頼りにしてるよ!VIVA用務員さん〜♪」
※スペイン語だとハハハはJAJAJA
実に和やかに、キツネとタヌキの化かし合い話し合いは終わりました。
そして…もちろん。とーぜん。
この日冷蔵庫は帰ってきませんでした。
「待たない。探すの!」
次の火曜朝。アタシはカフェの入口で途方に暮れていました。
カフェテリアが…閉まってるじゃないですかっ!
今8時半。とっくに開いている時間です(普段は7時から)。
「もしかしてカフェの営業は昨日まで…?もうお休み…?冷蔵庫も無いのに?やめてぇえ!」
仕方ないのでスゴスゴ家に帰り(徒歩30秒)、コーンフレークとコーヒーの簡単な朝食をとりました(もちろん壊れていないチビ庫に牛乳は常備。ハレルも飲むし!)。
さて。もう待てません。
実際には自分で直せないしお金も出す気はないから待つしかないのも分かっていますが、出来ることはある!
ブルゾンちえみさん、せっかくの教えだけどゴメン!アタシは真逆を行くわ!
花は自分からハチを探しに行きますか?
自分を花に例えるオコガマシさはこの際目をつぶり、ミツバチならぬ働きバチに、こっちから出向く!名付けて
THE プレッシャー作戦、開始!
アタシは引っ越しから2ヶ月放置されたまんまのソファの壊れた脚をつかみ、校内の用務員エリアへ向かいました(徒歩2分)。
用務員室というより用務員小屋のまえでデカい管を溶接しているトーニョに最初に会えたのはラッキーでした。
彼には以前箸作りでもお世話になっています。とっても親切な上に融通もきく用務員の実務上のトップです(言っちゃえば彼が大工の親方、アンドレイは会社・現場・顧客を繋ぐ現場監督)。
一通りの挨拶のあと、
「このソファーの脚を直したいから、トンカチとドライバー貸してもらいたいんだけど…」
「あぁ、いいとも!」
作業しているすぐ脇にあるトンカチというよりはハンマー!というようなゴッツいのをニコニコ差し出してくれました。
え?ちょっといいの?
今それ使ってんじゃないの?
奥にこっそりひっそりあるのでイイんだけど…
ホントにNOって言わないんだから。
なんだか逆に申し訳ない…
「あとはドライバーですね。ネジは?」
「えっと…ここに付いてるのがあるけど…新しいのもあったら嬉しいです」
なぜか二人とも丁寧語で話し始めながら一緒に奥に取りに行きます。
辺りキョロキョロ。…いないなーーー。
ついでにボンドまで借りて、第一目標終了!
「ありがとうトーニョ!ところで、どう?冷蔵庫(第二目標!)。直りそうですか?」
「ああ、あれ。さっき修理して今最終確認中ですよ。見てみます?」
「もちろん!」
いたいた!思いっきり屋外でポツンと置かれているけどコンセントにささってる。
中をあけて手を入れてみるトーニョ。「ああ、まだ冷えてないな…だが大丈夫!直ったのを確認したらすぐ持って行きますから」
うん。実際に彼らの仕事場に来て、他の用務員さんもそれぞれ別の仕事をしていて、で、ちゃんと冷蔵庫も色々してくれているのを目にしたら、その言葉信じられるよ!
「ありがとうトーニョ!じゃあそれを楽しみにビールいっぱい買っておく!へへへ。みんなも暑いけど気をつけて!明日これらを返しに来るね!」
もう、暑くなりかけの11時。
でもなんだか爽やかな気分。
ああ!家でモンモンと待ってなくてよかった。
ただ家で来ない来ない!とイライラしていても仕方ない。来ないならこっちから行く!直らないなら直す!簡単なことでした。
そしてやっぱり彼らはNOと言わない。使っているものだって貸してくれちゃう。そんなステキな人たち。多少仕事は遅いとしても他にも仕事はあるんだし、仕方ないじゃないか!そう、思えばいいんだ。これまた簡単なことでした。
「アナタ達が怠けてるからアタシが自分でやるのよ、フン」
「ほらほらほら。ダラダラして!そんなヒマがあるならうちの修理に来なさいよ!」
そんな気持ちがどこかにあるからこそ、用務員室訪問にプレッシャー作戦とかいうミッションネームを付けた自分が、めちゃくちゃ恥ずかしくなりました。
でも、自分が馬鹿だったことを認めるのはとても気持ちがいい(基本MよりはSなんですが)。
ニコニコで家に帰る途中、カフェテリアに電気がついていました。
聞いたら今日は朝会合があってスタートが遅れたとのこと。朝食食べる?と聞かれ、もう食べちゃった!代わりに卵を2コくれない?
…そうしてトンカチ・ドライバー・ボンドに卵を持って、持ってる分だけ幸せになって、ホクホク家に帰りました。
卵はさっさとチビ庫のなかへ!
いろいろDIY
さっそく、いろいろやりました。
まずは脚をボンドで固定して〜
ちなみに別の脚も既に垂木で修理されていましたw
おまけ・裏はなかなか現代アートなのも発見!
その後、しっかりねじ止めして…見てください!
壊れていた脚が… ↓ ↓ ↓
(引っ越し3ヶ月めにして)直りました!
あと、トンカチはこれがしたかったのです!
拾った枝と釘でネックレス掛け
他にも家中アチコチに釘うちをして、いろいろ下げるところを確保しました。
モノを作っていると幸せ。手を動かしているだけで幸せ。
この日も結局冷蔵庫は戻ってきませんでしたが、まあ、いいか。なるようにしかならないし。そう思えたのも、いろいろ待っているだけで文句タラタラだった今までが、自分から動いて、カラダを動かして、ちょっと状況も前に動いた満足感からかもしれません。
水曜日。お帰り、デカ庫!
そして次の日・水曜日。3食自炊の初日です。
朝一番にデカ庫が・・・
帰ってきました〜♪
さっそくエアコン室で気持ちばかり冷やしていた食材達を戻します!
チョコアイスも。
そのときちょっと一つ箱から出して持ち上げてみたんですが…
なんか下の方に液体たまってる感。
まあ、そーだよなー。溶けたら重力の法則には逆らえないよなー。ま、もう一度固めたら溶けたチョコの復活みたいに、ヘンテコな形でも食べられるかもしれない!
万全を期して、まる一日冷凍庫で放置。
木曜日。復活チョコアイスを食す!
この日、朝9時から学校の卒業ミサでした(参加は任意。次の日が全員参加のホールでの卒業式)。ああ、いよいよ夏休み!
卒業・夏休み・デカ庫復活のお祝いだ!
喜びのチョコアイスだ!
袋、オープン!
おお!思ったより型くずれしていない!
下になっていた方が、ちょっとめくれたみたいになっているだけ!白いアイス部分は全部下に落っこっちゃっているかと思っていたんだけど…
なんとなく白いバニラチョコが気持ち黄色いけど…ともかく食べてみよう!
もぐもぐもぐ。。。
んーーーー
なんていうか・・・
こーいうもの、と思えば
別にアリかもしれない。
でも・・・かなり通常と違うわ。
完食後。泥だんごを触ったわけではありません。
ともかくサクサクなはずのチョコクッキーが超シナシナでした。溶けたアイスを吸っちゃったんですね〜…。逆にそのぶん下に溶けることはなかった、と。袋のなかはそこそこキレイでした
アイスが気持ち黄色いのもチョコが溶けたから。
一週間の間に、君たちもずいぶん仲良くなっていたのね〜しみじみ。
でもアイスに賞味期限はないっていうし(溶けたらどうかまでは知らないし知りたくもない)、まあ今のところお腹に重大な危機も訪れていないので、まあいいか。
アイスは溶けても復活できる。
今回学習しました。
イライラは自分次第で溶かすことができる。
これも学習しました。
なんだかんだ言っても、好きだから。
この国に戻って来たんだし。
さあ、夏休み。冷蔵庫も戻ったことだし。
いろいろ買い出しして、3食自炊を楽しむぞ!
買い物前にトイレ、トイレ…っと。
・・・
!!!そーーーだ!!!
トイレ修理はいつ来てくれるの!?
おしまい。